5円の有料レジ袋が引き起こすこと

仕事帰りに、コンビニで翌朝用のパンを買っています。そのとき、棚に並んだ美味しそうなスイーツもカゴに。会計時には、レジ横の揚げたて唐揚げも一緒に。そんなこともしばしばでした。

ところが、レジ袋有料化以降、そういったささやかな楽しみは、すっかり無くなりました。

このレジ袋有料化は、どのようなデメリットがあるのか。経済面と感染防止面で考察してみたいと思います。

経済面について

上記の、ついで買いしたスイーツや、衝動買いした唐揚げは「非計画購買」と呼ばれます。非計画購買が、買い物に占める割合は、実に「9割」。計画的に買い物するのは、わずか1割しかないのです。(*1)

今回のレジ袋有料化によって、買うときに、「躊躇」が生まれます。そして、手に持てる範囲でしか買わない。バッグに入る量しか買わないなど、買う量を減らしたり、先送りしたりしてしまう人も多いことでしょう。

つまり、今回のレジ袋有料化は、非計画購買の意欲を削いでしまう。小売業の売上高が減少する。ひいては全体経済に悪影響を与える。そういった経済面のデメリットがある、と言えます。

感染防止面について

次に、感染防止面のデメリットについて。

感染防止においては、物を「使い捨て」「専用化」します。医療機関の方々は、マスクは「使い捨て」しますし、注射器も、患者さん「専用」かつ「使い捨て」です。「使い捨て」「専用化」は安全なのです。当然、安心感にもつながります。

一方、環境保護においては、物を極力「使いまわし」「共用化」します。ところが、この「使いまわし」「共用化」は感染防止面では多々問題があります。

北海道の昼のカラオケで発生したクラスターは、マイクの「使いまわし」が原因とも言われています。また、家族で「共用」している洗面所のタオルは、家庭内感染の危険性が指摘されています。

「使いまわし」「共用」は不衛生になりがちなのです。

今回、レジ袋に代わって推奨されているエコバッグも「使いまわし」します。洗う頻度は人によりまちまち。感染者のいる家庭のエコバッグから、店員へ。店員から他の客へ。そういった感染経路が、容易に想像できてしまう。実際にそうなるかはともかく、不安感を覚える人も多いのではないでしょうか。

したがって、エコバッグ推奨は、感染リスクまたは感染の不安感を増大させる、というデメリットがあります。

エコ「貸し」バッグというアイデア

無印良品のエコバッグが話題になっています。

価格は150円。高い、と思われる方も多いでしょう。ですが、このバッグ返品可能です。150円も全額返金。つまり、実態は「貸しバッグ」なのです。

これはとても良いアイデアだと思います。環境面に配慮しつつ、バッグを「共用」ではなく「一時的専用」にすることによって、安心感を与える。そこに、企業として「熟慮」の跡が見えます。

デメリットを超えるメリットがあるか

やや、強引な形で導入されたレジ袋有料化。熟慮されたのでしょうか。導入目的は「ライフスタイルを見直すきっかけ」とのこと。はたして、この「きっかけ」作りが、デメリットを超えるものになり得るのでしょうか。

環境保護はわからないことだらけ

夕食のおかずにデパートの地下で総菜を買いました。レジ袋は5円。割り箸は「無料」。環境保護は首をかしげることばかりです。

[参考 備考]
プラスチック製ショッピングバッグ廃止のお知らせ | ニュースリリース | 株式会社良品計画
プラスチック製買物袋有料化 2020年7月1日スタート(METI/経済産業省)
(*1) 一般的に9割と言われているが、5~9割、70%程度等複数データあり。
意外に多い「衝動買い」。ECサイトの場合は? | Web接客バイブル
消費者と非計画購買 – 神戸大学経済経営研究所
消費者の購買行動とそれに対する対応 | 株式会社サイバーリンクス
その他H19年度中小企業診断士試験 解答解説など